皆さんは、横方向ではなく上方向に開くドアを持つ車、いわゆる「ガルウィングドア」、あるいはもっと広義に「ポップアップドア」と聞くと、どのような車を思い浮かべられますでしょうか。
ランボルギーニ?デロリアン?はたまたAZ-1でしょうか。いずれにしても、高級車やスポーツカーばかり。そんなイメージをお持ちの方が大半なことでしょう。
ですが、かつて排気量1500cc・新車価格170万円程度の大衆車で、このようなドアを持つ車が存在しました。しかも製造していたのは日本を代表する自動車メーカー、トヨタ。バブル期中に企画され、バブル末期の1990年に発売された「セラ」という車です。
今回、それを買っちゃいました。
こういうやつです。
この車のドア、正式には「ガルウィング」ではなく「バタフライウィング」というらしいんですが、取説にも「ガルウィング」と書いてあるので、本記事では「ガルウィング」で表記を統一します。
ガルウィングだと狭い駐車場で隣の車に当たってしまわないか心配になるところですが、この取説でも書かれている通り、セラはむしろ狭い場所向きなんです。というのも、ドアを全開にしてもその幅はわずか40cm。通常の車で乗降可能な駐車場であれば全く問題ありません。
また、ドアを全開にしたとしても全高は1.7m程度。ハイゼットよりも低いんです。ハイゼットが入れるような場所であれば、立体駐車場でも余裕です。
このように隣に車がいても問題ありません。ちなみに隣の青い車とその隣の深緑の車は、わざわざセラを見に来た知り合いの車です。
知り合いの車(同年式のダイハツ・ロッキー)と並べて撮影もしてきました。
2台とも、30年前の遊び心ある車です。こういう車、最近はないですよね~。(余談ですが、ロッキーについてはこちらの動画で紹介されています。)
30年も前の車であるという点は不安しかなかったのですが、結果的に買ってよかったです。本当に30年も前に作られたとは思えないほどにエンジンもエアコンも快調です。
ちなみにドアを開けていないとこんな感じ。普通に小さくてかわいい車って感じです。
さて、この車がガルウィングを採用した理由ですが、窓ガラスを屋根まで回り込ませるためなんです。
このデカすぎる窓を実現するために、必然的にガルウィングを採用せざるを得なかったというわけなんです。それにしても、こんな車を本気で製品化できてしまったというのはすごいですよね。
ちなみにこの個体は1993年製で、後期型と呼ばれるタイプになります。また、「スーパーライブサウンドシステム」搭載車となっています。
「スーパーライブサウンドシステム」とは、名前の通り音にこだわった仕様です。ベースグレードのスピーカー搭載数が4個なのに対し、なんとこの車では10個も搭載しています。しかも、当時としては珍しく、音が立体的に聞こえるDSPを機能を搭載しています。
これだけガラスも大きくてオーディオ系も充実しているにもかかわらず、なんと車重は950kg。1tいかないんです。そのためかなりキビキビと軽快に走ります。
また、最小回転半径は4.6mと、小回りも利きます。実家の車よりも運転しやすいぐらいでした。
時代を感じる点として、今や装備されていて当たり前の、ABS・エアバッグ・パワーステアリングがオプション装備です。この個体はパワステのみ装備されています。急ブレーキをするならポンピング必須ですね。
ということで、納車のご報告でした。30年前の車ということで維持も大変でしょうが、可能な限り長く大事に乗っていきたいと思います。